ネパール新型コロナウイルス

対策緊急援助

 

第3報:現場からの感謝の声

新型コロナウイルスは、日本にいる私たちの暮らしや経済活動にも大きな影響を及ぼしています。そのような状況においても、ネパールの農村部の人々に想いを寄せてくださった多くの方々より、総額4,688,000円のご寄付を頂きました。
おかげさまで、現地で必要とされている新型コロナウィルス感染症対策用の医療資器材を届けることができました。

 

★支援物資を受け取った方々から寄せられた声★ 


ソルクンブ郡ネチャサリャン村のダフ・バストラ村長

「新型コロナウィルス感染症が村で広がったとき、FIDRスタッフと直接連絡を取り合い、村の現状に合わせて必要なものをお願いすることができました。当初は、中央政府のガイドラインに沿って、隔離施設の設置を行いましたが、備品や人材が十分でなかったため、適切な患者のケアができませんでした。また、保健施設へのアクセスの不便さや、家族と離れての隔離治療は精神・衛生上もよくないことが数件の経験から分かったので、自宅隔離による治療に切り替えました。その際に、必要な患者に酸素濃縮器を貸し出して治療を行っていますが、台数に限りがありました。今後は、支援していただいた資器材も活用して患者の対応にあたれるので、保健スタッフも安心です」

オカルドゥンガ郡チサンクガディ村保健局のティル・バッタライ局長 

「これまでも日本政府や日本の皆さまは、ネパールの発展や災害時などの大変なときには、いつも手を差し伸べてくださいました。今回も遠隔の私たちの村にまで支援を届けていただき、本当にありがとうございます。 

ご支援いただいた資器材は、村内の保健施設に配布し、地域の保健スタッフが患者を対応できるように指導します。これらの資器材はコロナ陽性患者だけでなく、喘息や呼吸困難の患者、妊婦など、他の患者への治療にも利用できるので、大変ありがたいです」 

村の保健スタッフが活動している様子

10月から11月にかけてネパール最大と言われるダサインやティハールなどのお祭りがあります。日本のお正月のように家族・親戚が一堂に会するため、帰省する人たちの移動も多くなります。昨年の経験からも、この時期をきっかけに第3波も想定されています。今回 FIDRが届けた資器材は、今後起こりうる感染拡大に備えるために活用されます。

改めまして、皆さまの温かいご支援に、心より感謝申し上げます。

第2報: ネパールの農村に新型コロナウイルス感染症対策のための医療資器材を届けました

9月下旬、FIDRネパール事務所は、現地パートナー団体とともに、支援対象地であるソルクンブ郡とオカルドゥンガ郡に、新型コロナウイルス感染症対策用の医療資器材を届けました。

両郡の農村部では、重症化した患者を受け入れる隔離センターを設置していますが、設備や人材が不十分なため、対応できる患者数に限りがあります。そのため、陽性患者の多くは、自宅で家族の介護のもと療養生活を送り、保健スタッフが巡回して容態を確認しています。

しかし、必要な医療資器材が不足しており、適切な診断、治療を行うことが困難になっています。FIDRは各郡にて、隔離センターや集落巡回にて使用する酸素濃縮器、パルスオキシメーター、抗原検査キット、医療従事者用の個人防護用具(PPE)セットを届けました。

支援物資の引き渡しの様子は現地のFM局のニュースで放送され、同社のホームページでも「支援物資はFIDRネパール事務所の前田所長よりオカルドゥンガ郡チサンクガディ村のニシャント・シャルマ村長に引き渡されました。シャルマ氏は、支援していただいた物資は、住民のコロナウィルス感染症の治療と感染予防に役に立てたいと語りました」と紹介されました。

業者に足を運び、製品の質や在庫を確認しながら、物資調達を進めました 

活動調整を行うスタッフミーティングの様子

PPEセットの梱包作業に立ち会い、中身を確認するスタッフ 

各村に支援した酸素濃縮器 

雨季の後半となるこの時期、悪路の中、支援物資を届けました 

支援物資の引き渡しの様子

ソルクンブ郡ネチャサリャン村 

オカルドゥンガ郡チサンクガディ村

ソルクンブ郡 保健事務所 

オカルドゥンガ郡 保健事務所

第1報: ネパール農村部でのコロナ対応の現状 

世界中で感染が拡大している新型コロナウイルスは、ネパールでも危機的な状況を引き起こしています。8月23日現在のネパールの新規感染者数は1548名で、5月12日のピーク時(9238名)より減少したものの、高止まりの状態が続いています。 

FIDRが支援するのはネパール東部、ヒマラヤ山脈が近くに見えるソルクンブ郡とオカルドゥンガ郡の農村部です。標高1000~2000mに位置し、首都カトマンズからは、車で12時間ほどを要します。

これらの地域では、これまで感染者はほとんど確認されていませんでした。しかし、今年4月より、インドと国境を接する南部平原地方や首都カトマンズでの感染者が急増し、都市部から出稼ぎに出ていた人が戻ってきたことも影響して感染が急拡大しました。

昨年12月、まだ村では感染者は出ておらず、集会の際もマスクをする人もほとんど見受けられませんでした。

今月7月の村の様子。感染者が増え、住民たちの間にも恐怖感が広がり、日常的にマスクをつけるようになりました。

村で感染した疑いのある住民がでると、地区の担当者が自宅を訪問し、抗原検査をしています。しかし、検査キットの数は十分になく、特に症状が重い人にだけを対象とするなどの調整をせざるをえない状況です。

また、重症化した患者は村に設置された隔離治療施設に搬送されます。しかし、その施設に十分なベッドや医療器具、人材が備わっていないため、対応できる人数に限りがあります。そこで、多くの陽性患者は自宅にて家族の介護のもと治療生活を送っています。

自宅で隔離治療を受けている住民

村の隔離施設の様子

特に重症化した患者は、郡の病院に搬送されます。対象の村から郡病院までは約45キロ離れており、山道を車で3時間以上かけて向かわなければなりません。さらに、現在ネパールは雨季に入っており、大雨が降り続いています。そのため、ぬかるみや土砂崩れなどで道路状況はさらに悪化しており、郡への搬送には困難が伴います。

FIDRは両郡の行政と連携して、新型コロナウイルスの感染予防や治療に必要な器材を農村部に届ける準備を進めています。

FIDRネパール事務所スタッフからのメッセージ
グン・ビール・ネワール

 ネパールでは、数か月にわたるロックダウン、その後も長く行動制限が続き、多くの人たちが仕事を失い、日々の食事もままならない人がいます。また、特に農村部では、治療や検査、予防に必要な資器材が十分に整っていません。このような不安の中、FIDRはソルクンブ郡とオカルドゥンガ郡の行政機関や住民から強い支援要請を受けました。
 2015年のネパール大地震やほかの災害のときも、日本政府や日本のみなさんはいつも迅速に、支援の届きにくい農村部まで直接手を差し伸べてくださるので、住民の方々が日本人へ寄せる信頼と期待はとても大きいです。みなさまのネパールへのご支援を心より感謝いたします。

 ネパールの新型コロナウイルス感染拡大の現状を、ぜひ周りの方々にもシェアしてください。 


FIDR(ファイダー)は、開発途上国の子どもたちの支援と緊急援助を行う、国際協力NGOです。
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